はじめに

このブログは、大阪大学人間科学研究科、社会学・人間学系の中にある「科学技術と文化」という研究分野の教育と研究を紹介するものです。「科学技術と文化」は、同研究科の人類学研究室を構成する研究分野として、人類学分野と共同で教育・研究を行っています。

このブログではまた、この研究分野が担当する授業科目「科学技術と文化」の授業内容の紹介と補助教材も掲載していきます。

「科学技術と文化」の授業は、大阪大学人間科学部で3年生向けの授業として春夏学期に開講されています。この授業では、科学技術と社会の結びつきを明らかにする科学技術論(Science and Technology Studies: STS)の基礎を学び、それを用いて現在の気候変動をもたらした科学技術、社会、経済、生活の関係を学びます。

さらに、授業の最後には、気候変動を抑制するために2050年までに二酸化炭素排出をゼロした社会をSF(science fiction)で用いられる世界構築の技法を用いて作り出します。フィクションと社会科学を交えたこのような実験を通して、学生たちは現在の当たり前の生活とはラディカルに異なる持続可能な世界とそれを支える技術システムを構想します。

このような手法は、社会科学とフィクションを織り交ぜていることから、social science fictionとも呼ばれていますが、「科学技術と文化」は日本でこの手法を推進している数少ない研究グループです。

このブログでは、授業で十分に伝えきれない内容や、授業の背景にある科学技術論、人類学、social science fictionなどについて伝えていきます。
授業を受講している学生さんたちは、授業の背景をよりよく理解するためにこのブログを使うことができます。
それ以外の方には、気候変動の背後にある、テクノロジー、科学、社会と政治の複雑な関係を読み解くための参考にしていただければ幸いです。

なお、当ブログの各ポストは、授業用の教材でもあるため随時内容をアップデートする場合があります。ご容赦ください。